●日本のエネルギー自給率はたった4%!
わが国の「衣食住」における第二の依存体質、
エネルギー問題について解説したいと思います。
世界でも有数のエネルギーを消費する「エネルギー消費大国」日本の事情です。
世界の約5%を消費して世界第4位。
世界の2%未満の人口をもつ日本人が約5%のエネルギーを消費している
わけですから、世界的な消費大国。
食料の自給率が40%前後という話でしたが、エネルギーはさらにひどい。
図表4は主要国のエネルギー自給率を表したものですが、
日本の事情を端的に物語っています。
日本の自前の国産エネルギー、たったの4%!
先進国の中でもちろん最下位。
図表4 主要国のエネルギー自給率
(資源エネルギー庁より)

フランスは7%、イタリア15%、ドイツ23%です。
米国61%、英国78%で、
食料自給率でも100%を越えていたカナダは、
エネルギーも139%と断トツの一位です。
カナダという国、国土のほとんどを米国と接していますが、
米国との外交関係が良好な限り、衣食住の基本的生活の面では世界で最も安定している国と言っても過言ではありません。
その対極にあるのが日本。
島国であるために本当は最も安定しているはずなのですが、
エネルギー源に恵まれていないために他国に依存しなければならないことから、
非常に不安定な国になっています。
原子力発電に必要なウランは海外から輸入していますが、
再利用可能なので自給率に含める考え方もあります。
ですから、図表4では原子力を入れた形にもなっています。
それでも、わが国の自給率は19%。残りの81%は完全に海外依存です。
●エネルギーにはこんな種類がある
エネルギー源の主なものは、原子力のほかに、化石燃料である石油、石炭、天然ガスがあります。そのほかにも水力、風力、太陽光発電等があります。
主な特徴については、以下の通りです。
① 石炭
化石燃料の一つ。世界の埋蔵量(確認可採年数)は230年以上と推定。
安価であるが、かさばる。発電コストは比較的低い。
二酸化炭素の排出量が大きく地球温暖化に寄与するため、依存率は下げたい。
発展途上国ほど石炭への依存率が高いのが特徴。
② 石油
化石燃料の一つ。世界の埋蔵量(確認可採年数)は50年程度だが、
昨今の技術革新によりさらに年数が増えると言われている。
地球環境のためには必ずしも好ましいとは言えないが、石炭よりは良い。
わが国は中東諸国、特にサウジアラビア、アラブ首長国連邦、イランから主に原油を輸入しているため、安定的確保が課題。
原油価格は需給のみならず、投機やOPEC諸国の政治事情に左右されるため、
原油価格が不安定であるのが問題。
③ 天然ガス
化石燃料の一つであるが、環境特性が他の化石燃料よりも優れている。
東南アジア、特にインドネシアに依存。
熱効率が大幅に上昇し、出力調整機能も有している。
コスト的には石油より高価。
④ 水力
わが国が自給できるエネルギー源の一つ。
河川にダムを建設することによって可能なことから、供給には限度あり。
また河川の生態系に悪影響を与える、自然の景観を損なうといったデメリットもある。発電コストの観点からは最も高くつく発電方法である。
⑤ 原子力
原子力発電コストは非常に安価である。
ウランそのものは海外から依存するものの、多様かつ政治的に安定した国に分布しているため、供給には問題が少ない。
リサイクルが可能であることからエネルギー自給率に組み込まれることもある。
地震国であるわが国では原子力発電所をどこに作るかが問題。
また発電所において問題が発生あるいは発生する可能性があるときに、
隠蔽する可能性が否定できず管理体制に問題が内在することは不可避。
⑥ 風力
風力も自然エネルギーであるため、環境的にまったく問題なしだが、
「風況」という制約があるため、ベース供給力にはならない。
あくまでも補完的エネルギーである。
⑦ 太陽光
自然エネルギーを利用した再生可能なエネルギー。
温室効果ガスを排出しないため環境に優しい。投資ストが高い。
エネルギーを得るためには季節、天候、時間帯といった制約があるため、
ベース供給力にはならない。
⑧ その他
その他としては、「地熱」、波を利用した「波力」、いらなくなった廃棄物を利用した「廃棄物」発電、また近年注目を集めている「バイオマス」がある。
●第二のオイルショックを起こさないためにできることは?
日本のエネルギー政策が難しくなったのは、
1950年~1960年代の高度経済成長期にいたる過程で国内に点在する石炭から、海外、特に中東諸国からの石油に依存するようになったという歴史的経緯にありました。
1950年代前半ではエネルギー自給率が80%程度だったこと
現在では4%だという事実を考えると、
如何に急激に海外のエネルギーに頼ってきたのかが理解できます。
エネルギーにかかわる技術やコストを考えると、
なんだかんだ言っても総合的に石油が最も安価だったために、
ピーク時の1973年では全エネルギーに占める石油の割合は77.4%で、
その石油のうち、ほとんどが中東地域からの輸入でした。
そこに1973年の第一次オイルショックが到来します。
原油価格は3ヶ月のうちに一挙に4倍に跳ね上がり、
日本経済は未曾有の不景気になってしまいました。
翌年は狂乱物価の年と言われたように消費者物価指数が23%上昇し、
日本中がパニックに陥りました。
テレビの深夜放送は休止、デパートもエスカレーターを運転停止
にしたところもありました。
石油とは何の関係もないトイレットペーパーを
日本国民が大量に買いに走った
ために極度の品不足になり、スーパーマーケットでは長蛇の列という光景があちこちで見られました。ガソリンスタンドに長蛇の列なら話が分かりますが、トイレットペーパーですからね。
まったく理解不能です。でも実際に起こってしまった。
その反省から、石油の依存、中東諸国への依存の減少を日本のエネルギー政策として推進してゆきました。
その結果、現在では石油依存率は47%まで落ちています。
しかし、それでも、近年のガソリン価格の乱高下に見られるように、
海外からの供給状況や政治事情によって、
私たちの生活は不安定であることには変わりありません。
ある程度の不安定さは不可避です。問題は
どの程度の不安定さならば、一時的な供給不足に耐えられるのか
という点です。
たとえばなんらかの理由で海外からのエネルギー供給がストップしてしまった場合に備えて何ヶ月分くらい備蓄しておくべきなのか、
どのエネルギーのどの国から輸入すべきなのか、
新エネルギー源を求めて税金をどのくらい投資すべきなのか、
といった問題があります。
日本政府の総合的な政策を考えておかなければなりません。
エネルギー問題のキーワードは「多様化」でしょう。
次回は、具体的な対策について考えてみましょう。