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2013年3月14日 (木)

ニーチェと鷗外の知られざる関係? あなたも鷗外を愛したくなる「超訳鷗外の知恵』●干場

_1_image_230_3111 これから、ご紹介する『超訳 鷗外の知恵』、発売前に案内した書店員さんの多くが、「漱石のほうがいいのに」というようなことをおっしゃったようである。
たしかに、鷗外と漱石は、明治の大文豪として、並び称されるものの、圧倒的に漱石の方が人気、すくなくとも親しみを持たれている。実際、漱石は、作家が本業だったが、鷗外の「本業」は軍医であり、少ない作品のなかには翻訳もある。
何より、いかにもエリートで、人情味がないような印象。

かく言うわたしは、どちらかというと、鷗外派で、実際、大学のとき、国語の教職を「ついでに」とっておくために、国文科の単位が必要で、「漱石と鷗外」という講座をとって、レポートでは鷗外を選んだのだが、その理由は、みんなが漱石を選ぶので、得意の逆張りをした、というだけのことで、彼のことをよく研究したわけではなかった(おかげで?、成績は、大学時代、唯一のCだった!ww)。

で、鷗外はやっぱり冷たい気取った人だと思っていた。まあ、じつは漱石も同じようなもんだとわたしは思っていたのだが、鷗外は、漱石のようには、弱い、汚い部分をあえて表現しないところに、かれの美意識がある、ぐらいに思っていた。

そういう、まあ、世間一般の人と同様の鷗外に対するイメージは、本書『超訳 鷗外の知恵』で、著者(編訳)の出口汪先生が「はじめに」にお書きになっていることを読んで、いっきに崩れ去った。
彼の一人の人間としての苦悩、その苦悩すら表すことを禁じられた人生に、哀しみを覚えた。かれは、実は、十分に人間的な人だった。情愛の人だった。

さらにいえば、年を(若く)ごまかして12歳で、東大医学部予科に入学したほどの大秀才でありながら、何回かの挫折をしている。小倉に左遷されたこともある。いずれも、上司に嫌われて、とあるから、きっとやっぱり秀才ぶりが鼻につくタイプだったのか、あるいは理系秀才にありがちなアスペ系だったのかももしれないが、それはともあれ、順風満帆なエリートではなかった。
「舞姫」で有名なドイツ女性の悲恋もあるし、その後、周囲の期待に沿って結婚した相手とも離婚している。
遺言書には、「軍医総監でも文豪鷗外でもなく、私は一人の石見人森林太郎として死んでいきたい」とあるという。

彼は、恋人も情も捨て、成功を目指し、それを得たことに満足していた人ではなかった。

わたしにとっては、その「はじめに」を読んだだけで、本書の価値はある(と言っても、自分では1700円出して買うわけじゃない71んだから、と言われそうだが、これは、自分でも買うと思う。ほんとです!!だって、そういうわけで、漱石より好きな鷗外なんだから!)

***

で、肝心の中身だが、これは、その鷗外が、左遷されていた前後に連載した、「知恵袋」「心頭語」「慧語」の三冊の箴言集の超訳である。

えっ? 鷗外が、自己啓発書を書いていた!!? それも、処世術を!?

と、私も出口先生から、その企画のご提案をいただいたときは、驚いた。
鷗外を熱愛する、そして、ご存じ「現代文のカリスマ」出口汪先生ならではの書である。

その項目を見ると、

 3 大衆に迎合するな
 4 量より質を追求せよ
 5 まず自分を信じよ
 6 弱点を隠すのが処世の第一歩

 58 成功したければ、準備は気にせずすぐにとりかかれ
 59 有能な部下を持て
 60 たえず新しい思想を身につけよ
 61 時には無理をせよ

 70 どうすれば互いに飽きないでいられるか
 71 妻の前で同じ話題を繰り返すな
 72 夫婦は互いに尊敬し合え
 73 夫はたまには家を留守にせよ

 89 女性二人のうち一人だけを褒めるな
 90 女性がどう見えたがっているかを考えよ
 91 女性を惹きつけるには秘密を打ち明けることだ

 109 自分のことばかり話題にするな
 110 怒りでは他人を説得できない
 111 人の悪口を言うと、自分が軽蔑される
 112 秘密を洩らす人に油断するな

などなど、220項目。ニーチェの言葉と同様、1ページ1項目。
詳しくは、こちらに、全項目と、本文の例を挙げたので、ご覧いただきたい。

73 まさに、鋭い哲学的な慧眼から、一見身もふたもないほどの人間心理の深層を突く「処世術」まで、豊富だが、実は、もともとの鷗外の本そのものが、鷗外による洋書の「超訳」。
「知恵袋」『心頭語」は、フランス革命勃発の前年に刊行されたグニッグの「交際法』、そして、「慧語」は、バルタザールグラシアンの著作集からつくられた箴言集をショーペンハウアーがドイツ語訳したものがもと。

そう! 弊社のこのシリーズの先駆けとなった「バルタザールグラシアンの 賢人の知恵』と、どこか、雰囲気、似てるなあ、と思ったら、バルタザールグラシアンの言葉も含まれていた!

72 そして、シニカルな表現だけがクローズアップされて、誤解されがちだったという点で、ニーチェにも似ていると思ったら、なんと、「バルタザールグラシアンの 賢人の知恵」には、しっかり、

ニーチェ、森鷗外、ショーペンハウエル激賞!

とあった!

***

さて、フェイスブックでつながった出口先生には、初めてお目にかかった折、ぜひ、大人のための日本語の本を!とお願いしたのだが、それは、別の出版社でちょうど始めるところなので、それが一区切りついたら、ということで、本書の企画をいただいた! ありがとうございました! そして、今年の秋ぐらいには、日本語の本も、出させていただけるかな、と、そちらもいまから楽しみにしているのであります!

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*PROFILE*

  • 干場弓子
    ディスカヴァー・トゥエンティワン取締役社長。魚座。愛知県立旭丘高校、お茶の水女子大学文教育学部卒業。新卒時、世界文化社入社。「家庭画報」編集部等を経て、1984年、ディスカヴァー・トゥエンティワン設立に参画し、現在に至る。夫と息子との3人暮らし。好きな言葉は、「Tomorrow is Another Day」。スカーレットの言葉です。理想の男性は、レット・バトラー。もしくは、クラーク・ケント(スーパーマン)。夫は、どちらにも、似ていない。
    ***
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