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2011年7月20日 (水)

テレビは生き残れるのか? ●干場

いよいよ今度の日曜日で、テレビの地上アナログ放送が終わる。

ずっと前から、デジタルテレビを観ている身としては、いくら、双方向とか他のメディアとの融合とか、できることはいろいろ広がるとはいっても、現実には、関連情報が見られたり、天気予報やニュースの文字情報が見られたり、2画面になったり、NHKの朝の番組で、リモコンひとつでクイズに参加できることぐらいしか特に違いは感じていないので、テレビを観られなくなってしまう人への周知ということ以外に、なぜ、業界の方が、7月24日を大騒ぎしているのか、いまひとつ、ピンときていない。

ただひとつ、今日いらした某BSの方とお話ししていておもったのは、チャンネルが、格段に増やせるようになる、とくにBS放送はこれからすごく増えるみたいで、テレビ関係の方としては、ますます群雄割拠というか、競争がたいへんな時代になるらしい、ということだ。

テレビを観る人そのものは減っているなかで、縮小していく市場のなかでのシェアの奪い合い。。。。たしかに、出版に似ていなくもない。

_1_image_230_311 というわけで、7月新刊のひとつ、『テレビは生き残れるのか』、じつは、中学校の頃から、友だちなどと比べても、あまりテレビを観ない方であり、いまも自分から積極的にスイッチを入れるのは、朝のNHKニュースぐらいのわたしにとって、未知の世界の話かな、と思って読んでみたのだが、同じコンテンツ業界だからなのだろうか、結構、電子書籍を中心とするデジタル化とソーシャルメディアの台頭と、既存の流通システムの制度疲労に揺れている出版業界と似ているところが多くて、少し驚いた。

たとえば、高度経済成長時代、テレビは『リアルな夢』を見せるものだったと著者は言うが、ファッションなどの雑誌もまた、そうだった。

雑誌で紹介されるヨーロッパの高級ブランドのバッグや洋服、食器、カトラリー、車、いす、部屋、家……それは、理想の自分、いつかこういう生活をするという夢と希望を、示すものだった(最初にいた会社が世界文化社の家庭画報編集部だったから、よけいそう思うのかもしれない。当時から、年収2000万円以上の家庭の主婦が読者対象だといわれていたし)。

バブルの前までは、そういう『あこがれ』が確かにあったし、インターネットも衛星放送もない時代、そうした情報は雑誌を通じてでしか、目にすることができなかったし、それがいちばん早かった。

日本の女性誌は、中国やタイ、ベトナム、マレーシアなど、アジアの女の子たちにとってはいまもそのような価値を持つのかもしれないが、日本国内ではどうか?
少なくとも、いま、『夢』の生活を観ることを期待して、テレビを観る人なんていないだろう。だとしたら、雑誌も?

はっきりしているのは、雑誌もテレビも、主たる財源である広告収入が減る一方だということ。読み人観る人の総数も減り、とくに10代20代のテレビ離れが激しい(たぶん、ネットゲームをやってるんだろう)ということだ。

本書には、映画と比べたらもともとスターと素人の境目があやふやだったテレビに、ストリーミング放送などソーシャルメディアの登場で、今度はプロの脚本家や演出家と素人のそれとの境目も限りなくシームレスになっていくことが書かれているが、まさに、電子書籍の世界がそれだ。

そして、そこで、問われるようになってくるのが、プロの技術なのだが、こちらも、長年の様々な仕組みのなかで、かならずしも育っていないという(少なくとも、高価な機材が必要、ということも現実的な参入障壁になっていたのだが、いまは、小さくて安くて高性能のカメラがあるし、編集はパソコンでできる)。
クリエイターなどと肩書きにあっても、その実、真にクリエイティブな仕事をしている人は一握りで、人件費に見合った働きをしていない人も少なくないらしいのだ。

そんななか、ユーチューブなどを見ればわかるように、ソーシャルメディアの世界では、驚くべき才能を発揮する素人が頻出しているわけだが、こちらも、だれでも本が出版できる電子書籍時代において、編集者個々に真のプロとしての能力が問われているのと同じ状況だ。

とはいえ、以上は、あくまで出版界に身を置く私の読み方であって、一般の読者のかたにとっては、タイトルどおり、『テレビは生き残れるのか〜映像メディアは新しい地平へ向かう』として、興味深くお読みいただけることだろう。

もうちょっとここ、詳しく知りたい! と思う部分がないわけではないが、コンテンツ産業に今おころうとしていることの全体像を俯瞰してみるには、まさに、恰好の本!!(文章もたいへんお上手ですので、サクサク読める!)

著者の境 治さんは、広告代理店、映像制作会社ロボットを経て、現在、株式会社ビデオプロモーションにてメディア開発に取り組む、メディア・ストラテジスト。

『ダビンチ・コード』などの翻訳や弊社の「日本人なら必ず誤訳する英文」などで知られるカリスマ(!)翻訳家越前敏弥さんのご縁で、処女作を弊社からお出しくださった。本を出すならディスカヴァーから、とかねてより希望されていらしたとのことで、うれしい限りだ。

なお、本書には、「2011年 新聞・テレビ消滅」「電子書籍の衝撃」の佐々木俊尚さんが、すばらしい帯の言葉を寄せてくださっている。

テレビの栄華は終わり、映像×ソーシャルの時代が始まる。
 本書で書かれていることは、約束された未来だ』


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*PROFILE*

  • 干場弓子
    ディスカヴァー・トゥエンティワン取締役社長。魚座。愛知県立旭丘高校、お茶の水女子大学文教育学部卒業。新卒時、世界文化社入社。「家庭画報」編集部等を経て、1984年、ディスカヴァー・トゥエンティワン設立に参画し、現在に至る。夫と息子との3人暮らし。好きな言葉は、「Tomorrow is Another Day」。スカーレットの言葉です。理想の男性は、レット・バトラー。もしくは、クラーク・ケント(スーパーマン)。夫は、どちらにも、似ていない。
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