アメリカ人と日本人、やっぱり違う!? アメリカでうまくいった方法が日本でもうまくいくとは限らないわけ ●干場
選挙は、予想通りというか、予想以上の民主の大勝というか、自民の大敗となり、これは、「行き過ぎたアメリカ式自由主義のもたらす弊害に対する国民の意思表示」みたいに言う人も少なくないようです。「アメリカでうまくいったからといって、それをそのまま真似しても、アメリカのようにうまくいくとは限らない。なぜなら、長い年月の中で培われた国民性がそもそも違うのだから」と。
確かに。
では、日本とアメリカの社会の規範、どこがどう違うのか?
その社会を形成している個々人の価値観、アメリカ人と日本人では、どこがどう違うのか?
そのことを真正面から取り上げて、日本人の価値観を見直そう、強みを見なそう、それを生かしたこれからの国家戦略、企業戦略を考えよう、という本が、ディスカヴァーから出ているの、ご存じですか?
8月の新刊。
「もうアメリカ人になろうとするな 〜脱アメリカ 21世紀型日本主義のすすめ」
(写真ではわかりにくいですが、きらきら光るグリーンがかったシルバーの縁取り!)
わたしなんぞ、この企画を拝見したとき、添付されていたこの図を見ただけで、
そうだ! そうか! と、納得!!
和より競争、平等より格差、長期的視点より目先の利益、情より公正さ、規制より自由、従業員より株主……それらのアメリカ的価値観は、はたして日本人に適したものだったの? 大多数の日本人を幸福にする社会にふさわしいのだろうか?
そもそも、それって、グローバルスタンダードでも何でもなくて、ただのアメリカのやりかたじゃん! ヨーロッパとも多くの第三世界諸国とも違うじゃん!(中国のことは知らないが)
それにしても、著者があげているアメリカ人と日本人に対する調査の結果を見ると、ほんとうに、違うなーと思う。ある意味、同じ土俵で戦ったら、そりゃ、お金の点じゃ、負けるかもとも。
たとえば、日米の高校生に対する調査の結果。
(%の数値は、「まったくそう思う」、「まあそう思う」の合計)
お金で権力が買える
アメリカ83.8% 日本49.4%
お金持ちは尊敬される
アメリカ73.2% 日本25.6%
お金持ちになるためならいくらでも残業する
アメリカ86.9% 日本33.8%
株や賭事でお金を稼ぐことは良いことだ
アメリカ82.8% 日本24.4%
他人のためより自分のためを考えて行動したい
アメリカ 日本
まったくそう思う 40.0% 11.3%
まあそう思う 45.0% 36.2%
あまりそう思わない 9.7% 44.8%
まったくそう思わない 1.7% 7.3%
大人に対する調査では、たとえば、こんなのも。
個人の行動の自由を多くすれば、経済は健全となる
まったく賛成、やや賛成の合計
アメリカ43.2% 日本11.7%
全く反対、やや反対の合計
アメリカ32.2% 日本21.1%
自分の主張を貫くべきだ アメリカ36.5% 日本8.6%
自分の主張はほどほどにすべきだ アメリカ39.4% 日本35.9%
刺激的なもくじはこちら。詳しくは、本書をごらんいただきたい!
というわけで、元技術系通産官僚でもあった著者が、アメリカ人と日本人の価値観の違いを定性的定量的に示しつつ、21世紀の世界の幸福にも寄与する日本的価値観の再評価と、それに基づく社会の仕組みの再構築、そのための政策を大胆に提案するのがこの本、というわけ。
間違った規制(薬や医療)の緩和を求める一方で、タクシーや金融、大規模店の出店などには規制を求める著者の提案は、一見、ちょっと過激だが、著者はそれも織り込み済み。ここから議論が広がることを望んでいる。
そうそう、アメリカに何でも追従する日本の政治に対する批判の書でもあるが、こと大学での教育については、オバマ大統領を見習うべきだとも!
政府の方針で運営費交付金を減らすことが大原則となっている独立行政法人改革では、基礎研究の振興がかえって妨げられ、本来の大学の役割をかえって発揮できなくさせる恐れが強い。
一方、アメリカではオバマしい大統領が景気対策の一環として、基礎研究予算を歴史上最大に増額すると宣言し、医学、科学、技術のブレークスルーを進めるとしている。日米で改革の方向が反対だが、どちらが正しい改革かは自ずと明らかだろう。
民主党、福祉のための高校の無償化もいいけれど、国家戦略としては、高等教育への「投資」、だいじょうぶだろうか?





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