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2009年8月

2009年8月31日 (月)

アメリカ人と日本人、やっぱり違う!? アメリカでうまくいった方法が日本でもうまくいくとは限らないわけ ●干場

選挙は、予想通りというか、予想以上の民主の大勝というか、自民の大敗となり、これは、「行き過ぎたアメリカ式自由主義のもたらす弊害に対する国民の意思表示」みたいに言う人も少なくないようです。「アメリカでうまくいったからといって、それをそのまま真似しても、アメリカのようにうまくいくとは限らない。なぜなら、長い年月の中で培われた国民性がそもそも違うのだから」と。

確かに。

では、日本とアメリカの社会の規範、どこがどう違うのか?
その社会を形成している個々人の価値観、アメリカ人と日本人では、どこがどう違うのか?

Photo そのことを真正面から取り上げて、日本人の価値観を見直そう、強みを見なそう、それを生かしたこれからの国家戦略、企業戦略を考えよう、という本が、ディスカヴァーから出ているの、ご存じですか? 

8月の新刊。
「もうアメリカ人になろうとするな 〜脱アメリカ 21世紀型日本主義のすすめ」

(写真ではわかりにくいですが、きらきら光るグリーンがかったシルバーの縁取り!)

わたしなんぞ、この企画を拝見したとき、添付されていたこの図を見ただけで、
そうだ! そうか! と、納得!!

Photo_3 和より競争、平等より格差、長期的視点より目先の利益、情より公正さ、規制より自由、従業員より株主……それらのアメリカ的価値観は、はたして日本人に適したものだったの? 大多数の日本人を幸福にする社会にふさわしいのだろうか? 

そもそも、それって、グローバルスタンダードでも何でもなくて、ただのアメリカのやりかたじゃん! ヨーロッパとも多くの第三世界諸国とも違うじゃん!(中国のことは知らないが)

それにしても、著者があげているアメリカ人と日本人に対する調査の結果を見ると、ほんとうに、違うなーと思う。ある意味、同じ土俵で戦ったら、そりゃ、お金の点じゃ、負けるかもとも。

 

たとえば、日米の高校生に対する調査の結果。

(%の数値は、「まったくそう思う」、「まあそう思う」の合計)

 

 お金で権力が買える             

    アメリカ83.8% 日本49.4%

 お金持ちは尊敬される            

    アメリカ73.2% 日本25.6%

 お金持ちになるためならいくらでも残業する  

    アメリカ86.9% 日本33.8%

 株や賭事でお金を稼ぐことは良いことだ    

    アメリカ82.8% 日本24.4%


他人のためより自分のためを考えて行動したい

             アメリカ       日本

まったくそう思う    40.0%      11.3%

まあそう思う      45.0%      36.2%

あまりそう思わない    9.7%      44.8%

まったくそう思わない   1.7%       7.3%



大人に対する調査では、たとえば、こんなのも。

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2009年8月30日 (日)

うまくいっている人とうまくいっている本の最後の秘密 〜利己と利他・中身と外見の狭間で ●干場

まだ、ゆっくりご紹介したい8月新刊があるうちに、なんといち早く、小飼弾さんが、9月の新刊の紹介を、先週金曜日にしてくださった。おたおた。アマゾンの予約画面もできたばっかり、私の手元に見本が届いた翌日だというのに…!

50 というわけで、遅ればせながら(?)、ご紹介させていただくのが、9月の新刊のなかでも期待の1冊。

「人を励ますのが苦手な人のための50の簡単な方法」

なぜ、期待かというと、

1) そのテーマがよい! 新しい! 
なんといっても「利他」の習慣を勧める本であること!

ジャンルで言えば、翻訳ものの自己啓発書だが、たいていの自己啓発書は、要するに、「自分がうまくいくにはどうしたらいいか?」の法則を並べたもの。やりたいことを明確にする、とか、いやなことはノーと言うとか、優先順位を立ててその通りにがんばるとか。

確かに、それらも大事だけれど、このブログでも、以前から、こちらこちらこちらにも書いたように、結局、人は、自分のためだけでは、力を発揮できない。誰かのため、というのがあって、はじめてすごい力を発揮できる。逆説的に言えば、自分がうまくいく最高の方法は、人をうまくいかせること。実際、うまくいっている人は最終的には。そうしている。

だから、最初、この本のタイトル、「うまくいっている人の最後の秘密」ってのに、しようかと思ったくらい。

でも、そんな大仰なタイトルにするにはもったいない(?)くらい、人を励ますためのすぐに使える実践的な方法、言い方が、易しく書いてある。で、このタイトルになったというわけ。

じゃあ、その具体的な内容は? というと……ま、弾さんのエントリーをご覧いただくのが、速いでしょう!!?

ということで、本書に期待する2番目の理由にうつる。
こちらは、ちょっと内輪の話。

2)最強の布陣でつくった本だということ!

まず、企画と翻訳原稿を持ち込んでくださったのは、古くは、「うまくいっている人の考え方「自分を磨く方法」などから、最近、またランキング入りしている「心の持ち方」等々、いずれも20万部超の、弊社の翻訳自己啓発書の多くがそうであるように、今回もまた、弓場隆さん!
久方ぶりに、素晴らしいお原稿をお持ちいただいた!!
(というか、この間もいくつかお持ちいただいたようだが、最初から弓場さん担当をさせていただいている出版部長フジタのお眼鏡にかなったのが久しぶり?)

というわけで、翻訳家弓場隆さんとフジタ出版部長の長年のコンビから、ほとんど完成形のお原稿が、編集部に到着。

あとは、これをどんなパッケージ(小見出しや文章の最終調整も含めて)にするか? というわけで、装丁入稿以降の編集担当に、パッケージにおいては右に出る者のいない(って、ただ、ディスカヴァー内だけの話ですが……)チバを任命!

もちろん、実際の装丁は、デザイナーの方が行うわけで、今回は、今をときめくTYPE FACE渡邊民人さん にお願いしたわけだが、これが不思議なもので、編集会議で装丁の方針とタイトルを決めて、合意がとれても、そして、同じデザイナーの人に依頼しても、担当する編集者によって、でてくるデザインが全然違ってくるのである!

これは、本当に不思議。だからこそ、本作りは、その相乗効果というか、組み合わせで、いろいろなものが生まれ、面白いのだけれど。

実際、この場合、新しい方向の自己啓発書で、かつ、今の時代にあった緩さと、手元に置いておきたい美しさと内容からくる実用性の両方を、ほどよくミックスした雰囲気、というミッションを、チバ君、渡邊さんとの絶妙のコンビで、いつものように、見事果たしてくれている、と思うのですが、いかがでしょうか? いや、内輪誉めしてる場合じゃなくて、渡邊さんのおかげですね! スミマセン。ありがとうございました!

なにはともあれ、本作りにおいては、装丁というか(本文組や用紙の雰囲気などすべて含めた)パーケージリングも非常に重要。50%50%というくらい大事。
中身+外見 その両方が重要で、かつ、外見は中身に、中身は外見に影響し、相乗効果で、相手にメッセージを伝える。感動を伝える。影響を与える。
人間といっしょだ。

だから、弊社では、デザインも非常に重視しているわけだけれど、この場合、ただ、デザイン性がたかけりゃいいってもんじゃない。あまりにとんがっていると、引かれてしまう。手に取りにくい。手に取る層が限られる(声をかけにくい)。

また、デザインの方向が中身が一致していないのもだめ。これまた、デザインに引かれて手に取った人は、中を見て、買わないし、本当は中身に興味があるはずの人は、デザインの方向から自分には合わないと判断して、手に取らない(中身が純真でもアバズレっぽいなファッションをしていては…)。

というわけで、「男は中身だ」などと言っていたのがいまは昔となっているように、中身と外見の両方がマッチし、なおかつ、良いとき、その本はその本の持っている力に応じた最大の売れ方をする。

ただ、中身はよいのに外見(装丁)がいまいちの場合と、外見(装丁)はいいのに中身がいまいちの場合を比べると、前者の方が結局売れるのは、人間と同じである。やはり、読者の方は、賢明だと本当に思います(政治家と国民の関係も同じか? 同じだといいけど)。

2009年8月27日 (木)

出版に展望はあるが、○○な出版社に展望はない 〜出版書店業界事情 ●干場

一般の方向けの講演(滅多にないけど)で私も話すことの多い、業界の問題点について、「誠」というオンラインマガジンが、丁寧に報告しているのを、システム担当コセキが自主的にやっている社内メルマガで教えてくれた。

興味のある方は、こちら、「誠」をお読みいただくとして、私がその中で特に強調したい部分は以下。(茶色い部分が「誠」の記事からの引用)

①2大取次の寡占

4大出版社の規模や書店トップの紀伊國屋書店の規模は、大阪屋とほぼ拮抗(きっこう)しており、日販、トーハンに比べれば本当に小さな会社。出版社と書店はいわば中小企業の集合体であって、寡占とは真逆の群雄割拠になっているのだ。

つまり、川上と川下の企業数が多く、川中が寡占化された、砂時計のような特異な構造を出版業界は有している。他業界にはほとんど見られない構造だ。

日本型出版流通の大きな特徴は、このように日販とトーハンの流通寡占であり、出版社は全国の書店やコンビニに書籍・雑誌を流すために2社に依存しているということ。

そんななかで、書店様4000店と一店一店直接取引しているディスカヴァーが、いかにユニークな存在で先進的な存在か、おわかりいただけるでしょうか?(ただし、ローソンなどコンビニさんは、取次さん経由)

②売上げの大きい書店優遇

書店は日販やトーハンに配本をコントロールされる。見計らい配本によって、欲しくもない本も箱詰めにされて一緒に送られてくる。そして、中小零細書店や実績のない書店には、一番欲しいベストセラー本がなかなか配本されない。

取次は月々の代金回収機能を持っている。中小書店は月に2回の支払いを義務付けられている一方で、大書店は月1回の支払い。書店の決済は返品相殺方式な ので、いずれの書店も、売れなかった本をできるだけ早く返品して、支払額を少なくしたいといった心理が働く。そこで中小書店からの信じられないほどの大量返品が発生してしまう。

新刊本の返品率は大変高い。不適正な配本、不確実な配本、非確実な押込型新刊マーケティング、非適正な新刊広告、書店の決済が送品即請求、返品自由などいくつもの原因が重なって、新刊本の推計部数返品率は60〜70%

中小書店さんが月2回の支払いを強要されているなんて、知らなかった。

③老舗出版社優遇

実は、私がいつも2番目に強調しているのがこの部分。規模ならまだわかる。ただ、老舗かどうかということでのこの既得権優遇の制度!!

取次と老舗大手・中堅出版社200社超の間には、新刊委託部数分に対して、翌月にその何割かのお金が自動的に支払われる取り決めがある。比率は出版社によって個別に決まっていて、10割のケースから4割のケースまでさまざまだ。新刊委託で送品した本が売れようが売れまいが、新刊本を押し込めさえすれ ば急場のお金が作れるから、委託販売を止められないのだ。

しかし、新しく取次と取引を始めた新規の出版社には一切そのような特典はなく、新刊委託本の代金は半年後に清算される。
取次は、書店に対する配本と集金に関しては大手を優遇し中小には厳しい傾向があるが、出版社に対しては老舗と新参に分けて老舗の出版社を優遇しているのである。

まあ、二大取次の株主は、老舗出版社なんだから、あたり前。早く言えば、そうした株主出版社の自転車操業のために、業界があるようなものとも言える。瀕死のご老体の延命を業界全体に強要しているというか。弊社が直取引をしている一番の理由。

④凡庸な編集者とそれを許す出版経営の責任

そうそう! 私が一番強調しているのは、これ。

原因を取次寡占、書店大量閉鎖などに求めるのはおかしい。日本の出版流通システムは改善されつつあり、しかも大型店が増えているため、書店の売場面積は広がってきている。

むしろ、大事な問題の1つは作り手側にある。これだけ取次に優遇されていながら、良い企画、売れる本が作れない。良い著者を発掘できない。すなわち編集者の企画力の陳腐化、出版社のマーケティング力不足がまず厳しく問われるべき

米国の2007年の書籍売上高は前年より3.2%増。ドイツは3.4%増。フランスは5%増。雑誌を含まない書籍の統計ではあるが、少なくとも欧州、米国の出版業界は、日本のように落ちっぱなしのイメージはなく、インターネット、携帯電話が普及したから本が売れないというのは、国際的視野から見れば嘘

さて、弊社だって、売れる本がいつも作れているわけではないし、編集者のすべてが現時点で、優れた企画力、発掘力を持っているわけではない。ちょっと油断するだけで、他社で売れた企画、売れた著者に傾いたり、自分から企画も新人著者も探しに行こうとしないで、向こうから来る人、紹介された人をさばくのが、売れてる会社の編集者だみたいな勘違いにいってしまいがち。わたしだって、そうならないとは限らない。

でも、他社より少しだけ誇れるのは、「取次による優遇がない」こと。
それから、まだまだ、ディスカヴァーのことなんて知らない著者候補の方が多いこと。
そして、書店員さんや書店グループによっては、大手老舗版元の営業や取次さんには、へいこらしても、その分の鬱憤を、弊社の若い営業スタッフにまき散らしたりする人もいるってこと。

つまり、既得権のない分、つねに、コンテンツクリエイト、マーケティングクリエイトをしていかないと、生き残れない。そういう緊張感がある。

つまり、ディスカヴァーは新参の中小出版社である、という、この業界における

弱みこそが、むしろ、強み

なのだ。だって、この業界の現在のあり方そのものが問われているんですからね。

正直に言おう。わたしは、他社のまねっこ企画と、編プロやライターさん任せの編集しかできない、あるいは、偉い先生の原稿を右から左へ回すしかできない編集者は、業界に不要だと思う。かれらの雇用を守るために、売れないのを承知で新刊の数あわせと押し込み納品の自転車操業を続ける出版社は、淘汰されるほうが世の中のためになる。

もちろん、そんなこと言って、おまえの会社はどうなんだ、といわれたら、そうならないようにこれからますます全社一丸となって、志を持って、やっていく、としか言いようがない。

編集もそうだが、弊社が直取引だということは、営業が会社の要だということだ。数の上でも、社員の過半数を占めるし、発言力でも(ま、営業には声が大きく華やかな雰囲気の者が多いのに対し、編集はその真逆なタイプが多いだけだったりもするが!?)勝っていたりする。常に目は、書店さんとその先の読者の方に向いている。自然に会社はマーケティング志向となる。

それでも淘汰されるとしたら、それもまた仕方のないことだろう。

決定権は、取次でもなく、書店でもなく、著者でもなく、エンドユーザーである読者の方にあるはずだと思うので。

なお、2大取次の株主は、どこかを、ウィキペディアで調べてみた。「続き」をどうぞ。

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*PROFILE*

  • 干場弓子
    ディスカヴァー・トゥエンティワン取締役社長。魚座。愛知県立旭丘高校、お茶の水女子大学文教育学部卒業。新卒時、世界文化社入社。「家庭画報」編集部等を経て、1984年、ディスカヴァー・トゥエンティワン設立に参画し、現在に至る。夫と息子との3人暮らし。好きな言葉は、「Tomorrow is Another Day」。スカーレットの言葉です。理想の男性は、レット・バトラー。もしくは、クラーク・ケント(スーパーマン)。夫は、どちらにも、似ていない。
    ***
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