今年一番の「希望」の本! これ、うちで出したかったな… ●干場
ああ、これ、うちから出したかったな、と思う本が毎月1冊位ずつあるのだが、多分、これは、今年一番の「ああ、これうちから出したかった!」の本!(やったね、ミシマさん!!)世界最速時速370キロの電気自動車Elicaを開発した清水浩氏の「脱「ひとり勝ち」文明論」。小飼さんのブログで知って、すぐに予約した。そして、読んだ。
第一に、帯がいい。
「未来はこんなに明るいのだ!」
この言葉を待っていた。
ただの精神論ではだめ。日本にとっても世界にとっても最大の不安材料であるエネルギー問題、そして、技術革新問題、それから派生する環境問題、世界の貧困と格差の問題、そこに希望がもてない限り、潜在的な不安、絶望からは逃れられない。
だからこそ、今年の初め、オバマのグリーンニューディール政策がまぶしく感じられたし(具体的な「希望」を提示したという点で)、トヨタやGDPの暗い数字の中で、三洋電機の太陽電池工場設立計画の記事が一筋の光に見えた。
そして、本書は、太陽電池と電気自動車が開く、まさに太陽のエネルギーと同様、地球のすべての人々が恵を得られる技術革新が、もうすでに実用化の一歩手前であることを示してみせる。高校生にも分かるやさしく、かつ、著者の息づかいがきこえる人間的な語り口で。
詳しい内容は、こちら、小飼さんの記事をお読みいただくとして、わたしの、そしておそらくは多くの人の電気自動車に対するイメージを180度は覆す、著者らが開発している「エリーカ」の普及の現時点での障壁は、多くの大技術革新がそうであったように、すでに旧技術でサプライチェーンが完成し、そこで多くの人が働いているということにあるという指摘、これはまさに、現在、グーテンベルグ以来の技術革新が押し寄せる出版業界にも当てはまっていることだ。
まあ、こちらのほうは、自動車産業のように、アメリカでも日本でも、国の根幹をなす産業と比べたら、ほとんど誤差の範囲のような小さな金額の産業なのだけれど、それでも、起こっていることは同じだろう。こちらも、自動車と同様、消費者の立場に立ってみれば、わくわくする「希望」の光でもある。
(こちらについては、小林弘人氏のこの本をどうぞ)
ところで、この「脱「ひとり勝ち」文明論」の冒頭に、著者が高校生にした質問とその答えがあった。
未来は今よりどうなっているか? という質問に対し、80%以上が、悪くなる、と答えたというのだ。
これは、わたしが、以前書いた記事(明日は今日より悪くなると思っているかよくなると思っているかには、世代間ギャップがあるということを書いた)やこちらの記事とも、弊社の二十代前半の社員が明かした心境とも合致する。
彼女曰く、こんな悪くなるに違いない世界に子どもを生みたくない、かわいそうと。
そう、少子化対策には、いろいろ言われているけれど、この、漠然とした不安感、漠然とした絶望感を、希望に変えていくことが伴わない限り、根本的な解決にはならないのではないか?
さて、我が家の高校生に、上記の質問をしてみた。
答えは、「善くなる領域もあれば悪くなる領域もあるだろうから、そのような漠然とした質問には答えられません」とのこと。要するに、何も考えていないことをかっこつけていっているだけだと推察されるが、少なくとも、意味もなく漠然とした「絶望感」におそわれているわけではないことが推測され、ひとまず、ほっ。
「希望」を創り出す側に回ってほしいとの願いを込めて、本書を読むように渡したが、はてさて、難しい年頃に突入してしまった我が息子、素直に読んで、感銘してくれるだろうか?





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