8月新刊のご紹介を続ける。
この2冊、ちょっと一見、ディスカヴァーっぽくない。
『コスメの常識』以上に、ディスカヴァーっぽくない。
「部課長の対話力」は、ディスカヴァーらしいと思われるかもしれないけれど、第一章とか、なんというか、いわゆるよく言われるサラリーマン生活ふうの、つまり、被害者的イントロで、確かに、それが現実なのかもしれないけれど、わたし自身は、実感したことがない、見たことがないので、正直、よくわからない。
もちろん、それを著者は打ち消して、部課長こそ、自分の声で語れ、自分の言葉で語れ! 部下はそれを待っている、それこそが、個人の成長を組織の発展につなげる方法だと、丁寧に、厳密に、誠実に、そして、力強く、論じていく。そして、そのツール、テクニックまで教えてくれている。
著者村山昇氏が説くこれは、もはや『対話力」というより、『対話道」だ。
ところで、今の部長クラスというと、弊社で言ったら、フジタとかオダとか、いわゆる新人類世代だ。上司とお酒を飲みに行ったり、公私共々親しくなんてことに、真っ向から反対して、しらけていた世代といわれる。かれらはそうではないが、もし、そういう世代の典型的な人たちだったら、たしかに、むずかしいかも。自分が若かったころ、そうやって上司と距離を置くのをかっこいいと思っていたのが、自分が上司になったからと言って、部下と自分の言葉で語り合うなんてね。
課長クラスというと、いわゆるバブル世代か、その後のロストジェネ世代か。こちらはどうなんだろ。趣味の合う人たちとは、上司とか部下とか関係なく、その趣味について、コミュニケーションしている気がする。
課題は、本書にもあるように、自分の働く目的と会社の目的の重なった部分でどれだけ話していけるかだ。
ちなみに、わたしは、社長をすることの大きなメリットのひとつは、この重なりが100%に近くなることだと思う。それはほんとうに、働くということについて、自由だ。逆に言えば、100%に近づけていけば、社長になれる。社長の視点でもはや働いているからだ。
話がずれてしまった。
あなたは部下に、『仕事とは何か?』を語れますか?
この帯コピーにはったとした、今の職場に、ギスギス感を感じているあなた、
一度、手に取ってみて。
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さて、一見、ディスカヴァーっぽくないかも、の新刊のもうひとつが、これ、
「悪徳官僚に学ぶ『戦略的」ゴマすり力』。
『部課長の対話力』が、直球も直球、剛球の直球だとしたら、こちらは、はげしく変化球。
ちょっとシュールというか、シニカルというか、素直に直球を旨とするわたしのタイトルやコンセプトの立て方からはかなり外れていて(嫌いではないが、得意でないので)、かなりかなり迷った。したがって、著者はもちろん、デザイナーのJIN遠藤さんにも、かなりご迷惑をおかけした。ラフ案、10個以上は作ってもらったと思う。
でも、内容は極めてまっとう。ちょっと誤解されるかもしれない、官僚を貶める本ではない。でも、『官僚に学ぶ」なんて言っても、素直に、そうか、学ぼう!なんて言う人、いまいないでしょ? たとえ、それが『ゴマすり」だったとしても。
実は、「ゴマすり力自体が、どうなんでしょうねぇ」ということで、著者には、最初、べつのコンセプトで書いていただいたのだが、やはり、中野さんがお書きになりたかったのは、『ゴマすり力』だったようで、ここに戻った。
ひょっとして、「すごそう」な本に見えるかもしれないけれど、そこは、著者のキャラと相まって、くすくすっとわらいながら、さくっと読めちゃう。それでもって、そんじょそこらの一見まっとうなコミュニケーション・スキルの本なんかより、100倍役立つ。実際役立つ。
というのも、この著者の中野雅至さん、なぜ、こんなことが書けるかと言ったら、ご自身も元官僚、それも、東大法学部が中心のなかで、ご本人曰く、なぜか受かってしまった同志社文学部ご出身。役所に入るまで、東大生や東大卒の人とはほとんど接点なく、まず最初のショックが、おもっていたような傲慢な嫌なヤ
ツ、勉強だけのガリ勉タイプなどおらず、謙虚で、性格も良く、運動とかもそつなくできる、とにかく腰の低い感じのいい人ばかりだったということ。そのあたりから、中野さんの観察力がはじまっていったのだ。
中野さんは、現在、大学院の教授。著書も非常に多く、「朝まで生テレビ!』ほか、バラエティ番組にもよくご出演の売れっ子。だからこそ、「東大卒エ
リート官僚と吉本お笑い芸人との意外な共通点とは?』なんて、項目も立つ。元官僚とは思えない、親しみの持てる陽気なお顔立ちも魅力で、だからこそのこのウィットに富んだ本なのだ!
というわけで、ゴマすりというと、ネガティブなイメージしかないかもしれないけれど、それは、ひたすら組織内での出世やお金のために、いやな上司や取引先に、こころにもないお世辞を言って、卑屈に、こびへつらう手段、と思われているからであって、ここにかかれているゴマすり力は、まったく異なる。ひとたらし術のほうがぴったりか。
卑屈どころか、誇りを持って、相手をいかにいい気持ちにさせて、その懐に入り、協力させるか。そのためには、徹底的に相手を洞察し、落としどころを見抜き、タイプごと目的ごとのテクニックも研究する。いわば、傾向と対策。極めて知的で、戦略的な、まさに、高度なコミュニケーション能力だったのだ。
植木等の歌とは、随分違う(なんて書いたの読んで、すぐぴんと来る人は、おお、歳がばれちゃうよ!)。
そして、この『ゴマすり力』こそが、個別の官僚がバッシングされてもされても生き延びてきた理由であり(組織として、サバイバルのための幾重にも巻かれた仕組みができあがっていることについては、本書は触れていない)、それこそが、学歴も、資格も、実績も、必ずしもあてにならないこの不透明な労働市場を生き抜くために、いまこそ、私たちが学ぶべきスキルだと、著者の中野さんは説く。
だからこそ、ふつうのコミュニケーションの本にははない、本音のコミュニケーションスキルが身につくこと、請け合い!というわけなのだ。
というわけで、やっぱり、こちらも、ディスカヴァーだった。。!